複数ローソク足分析の基本と使い方|相場の動きを正確に把握するために

1.複数ローソク足分析とは?

複数ローソク足分析は、複数のローソク足を使用して相場のトレンドや転換点を分析するテクニカル手法です。

通常1本のローソク足では、ある期間の価格の始値、高値、安値、終値が反映されますが、今回はこのローソク足を複数使って相場をより高度に分析します。

2.複数足の種類

かぶせ線・切り込み線

かぶせ線は、最初のローソク足が大きな陽線で、次のローソク足が前日の終値より高く始まりますが、

その勢いが続かずに下落し、終値が最初のローソク足の中央よりも下に位置する形状をしています。

この形は、最初の大きな陽線が騙しに終わり、相場が下落することを示唆しています。

特にかぶせ線が高値圏で発生した場合、相場が下落する可能性が高いと考えられます。

一方切り込み線は、最初のローソク足が大きな陰線ですが、次の陽線が前日のローソク足の中央よりも上に位置することを言います。

相場が上昇する可能性を示唆しており、切り込み線が安値圏で発生した場合、相場が上昇する可能性が高いと考えられます。

たすき線

陽のたすき線は、1本目の陰線の後、2本目が1本目のローソク足の実体の中から始まり、終値が1本目の高値よりも上に位置している形をしています。

特に、安値圏でこの形が発生した場合には、下落から上昇への転換が期待されます。

ただし、この形が陰線に続く下落トレンドの中で発生した場合には、2本目の陽線は一時的な調整とみなされ、戻り売りのチャンスと捉えられ、より下落する可能性もあります。

陰のたすき線はその逆で1本目の陽線のあとに、2本目の陰線が1本目の中から始まり、1本目の始値より安く終わることで、上昇から下落を示唆します。

はらみ線・抱き線

前日のローソク足の中に当日のローソク足が収まる場合をはらみ線と呼び、逆に前日のローソク足が当日のローソク足の中に完全に収まる場合を抱き線と呼びます。

いずれも、相場の方向性が反転する可能性が高いサインとされることがあります。

特に、安値圏での陽線の抱き線は上昇を示唆し、高値圏での陰線の抱き線は下落を示唆します。

毛抜き天井・毛抜き底

毛抜き天井は、ローソク足が二回ほど高値まで上昇したものの、最高値を更新することができない形状のことです。

上昇トレンドの中、天井付近でで毛抜き天井が形成された場合は、下落を示唆します。

逆に毛抜き底は、ローソク足が二回ほど安値まで下落したものの、最安値を更新することができない形状のことです。

下降トレンドにある場合は相場の反転、つまり上昇を示唆します。

前後に方向性の違うローソク足があり、その間に窓を空けて存在する小さなローソク足、十字線のことを星と言います。

星には下記の2種類があります。

【明けの明星】
陰線→窓→星→窓→陽線が順番に並んだ3つのローソク足によるパターンです。

安値圏でこのパターンが出現すると、下落から上昇への転換の可能性が高くなると考えられています。

これは1本目で大量の売りが出て、2本目も窓を空けて下落しましたが下値は限定的であり、その後窓を空けて上昇したことから想像以上に上昇圧力が強く、引き続き上昇することを示唆しています。

【宵の明星】
明けの明星とは逆で陽線→窓→星→窓→陰線が順番に並んだ3つのローソク足によるパターンです。

高値圏でこのパターンが出現すると、上昇から下落への転換の可能性が高くなると考えられています。

行き違い線

行き違い線は1本目と2本目のローソク足が同程度の実体の長さで、1本目と2本目の始値が同じ価格で重なっている形状を指します。

行き違い線には1本目が陽線から陰線へのパターンと、1本目が陰線から陽線へのパターンがあります。

行き違い線は、1本目の動きが完全に否定され、逆方向に大きく動いていることを示しています。

高値や安値で発生した場合は、相場が方向転換する可能性がありますが、これだけで判断するのは時期尚早です。

出会い線

出合い線は、1本目と2本目のローソク足が同程度の実体の長さで、1本目と2本目の終値が同じ価格で重なっている形状を指します。

出会い線には1本目が陽線から陰線へのパターンと、1本目が陰線から陽線へのパターンがあります。

先ほどの行き違い線とは似ていますが重なるタイミングの価格が異なります。

基本的には、このパターンは相場の方向転換を意味することが多いですが、これだけで判断するのは危険な為、その後の価格変動を見極める必要があります。

3.複数ローソク足トレード戦略

ここでは、実際のトレード画面をもとに複数ローソク足について分析していきます。

但し、ローソク足だけを見て売買をするトレーダーは少なく、一般的には他のテクニカル指標と組み合わせて使用する為、すべての銘柄が同じ動きをするものではありません。

4.複数ローソク足分析の限界と注意点

複数ローソク足分析は、投資家の心理を反映する非常に重要なツールです。

しかしその時の需要と供給で株価は決定されるため、地合いなどを考慮した時、全てがローソク足の分析通りとはなりません。

さらに、相場の動きには突発的なニュースや出来事など、ローソク足分析では捉えられない要因が存在することもあります。

そのため、複数ローソク足分析で予測を行う場合でも、常に注意が必要です。

5.まとめ

複数のローソク足を組み合わせた分析は、単一のローソク足では得られない情報を提供し、相場の変化を捉える上で非常に有用です。

ただし、複数のローソク足を組み合わせた分析は、確率的な手法であり、常に正確にトレンド転換や相場の重要なポイントを特定することはできません。

また、過去のデータに基づく分析であるため、将来の相場動向を必ずしも正確に予測するわけではありません。

常に適切なリスク管理を行い、またローソク足分析だけでなく複数のテクニカル分析を組み合わせてより確実性の高いトレードをすることが重要です。